経営学部の特徴

仮想の企業経営のなかで見いだす経営学の面白さ

企業が何をしているのかを理解することが、経営学のさまざまな理論を学ぶうえではもっとも近道となります。経営学科の1年次必修科目として設置されているマネジメント基礎Aは、青山学院大学経営学部が独自に開発したマネジメントゲームを通して企業経営を仮想体験する講義です。ゲームでは、予算や人材の配分をするだけでなく、長期的な視野で人材の育成や資金の調達を行います。プレーヤー(経営者)はその結果について分析し、問題点を改善するための具体的な方法を自ら考えることにより、問題解決能力を身に着けます。まさにゲーム感覚で、企業活動そのものをイメージすることができ、結果としてすべての1年生が経営学を学ぶことの面白さを見出すことでしょう。

経営者視点の獲得

経営者の視点で企業経営を考えることは経営学を学ぶうえではとても大切なことです。経営学科では、マネジメントゲームにおいて、シミュレーションとはいえ、経営者を一度体験していることで、2年次以降の多様な経営専門科目を受講したときに具体的な経営活動とリンクさせながら学ぶことができます。例えば、ゲームのなかで資金不足で苦労した経験のある学生がファイナンスの講義を受講すれば、資金調達の重要性を経営者視点で考えることができ、より多くのことを吸収することができるでしょう。このように、マネジメント基礎を受講した学生たちは、その4年間を経営者視点を持って学びつづけることになります。

アクティブラーニング

マネジメント基礎Aでは、マネジメントゲームに参加することでアクティブラーニングを取り入れています。ゲームを進めていくのは受講者自身であり、しかもその入力や結果の分析の大部分をホームワークとして行います。もちろん授業では、担当教員がゲームに登場する語句の意味や、業績に影響を与える可能性のある要素について言及しますが、それ以外の時間では、プレーヤー(経営者)同士でのディスカッションが行われ、互いにアドバイスを交わしながら、自ら考えていきます。マネジメント基礎Bにおいてもこの方法は踏襲されています。受講者は事前課題としてさまざまなケースに取り組むことが求められ、そして授業において自分自身の考えを小集団内で発表しあい、適切な回答を導き出していかねばなりません。青山学院大学経営学部は、学術的な理論体系をなによりも大切にしていますが、それ以前にまず自分の頭で考える人間の育成を目指します。

企業経営の基礎を楽しみながら学ぶ -マネジメントゲーム-

経営学科では、企業経営に親しむための独自のシミュレーションゲームを開発し、1年生の必修科目としています。開発者の一人、山下勝教授からお話を伺いました。

経営学科に入学し、最初に受ける授業が「マネジメント基礎A」です。より専門的な経営理論を理解するために、必ず知っておくべき基礎となるのですが、10年以上1年生にこの前身となる授業を教えながら、疑問に感じていたことがありました。それは、大学院の社会人学生と比べ、高校を卒業したばかりの学生は理論の理解度が低いことです。いかにわかりやすく、興味深そうな話を織り交ぜてもこれは改善せず、なかなか伝わらないのが長年の課題でした。その一方、マーケティングの授業を見ていると、学生たちは皆授業を理解しているのです。この違いは、学生たちは高校生、もしくはそれ以前からマーケティングの現場に消費者として参加し、実体験で理解できるからでしょう。経営学の理解における新入生と社会人との違いは、会社とは何かを知っているかいないかということです。そこで、学生たちにより理解しやすい方法を考えようと思ったのが、マネジメントゲーム開発のきっかけでした。

開発は2010年に着手し、2013年から授業で利用し始めています。このゲームは、学生一人一人がメーカー企業を経営し、株価で順位を競い合うものです。4つの業界を仮定し、一クラス90人の履修者がいれば90社あることになり、一業界20数社の中で競争します。スタート時点での条件は全員同じで、手持ち資金2億円、1棟の工場を所有、従業員は12人、株価1,000円という設定です。ここから学生たちは、さまざまな試みを行うのですが、株価は単純に売上や利益だけでなく、資本金を有効活用しているか、負債はどの程度か、といったさまざまな面が影響します。株価は10円にも数千円にも、そして上場廃止にもなる仕組みです。

実際の授業では、前半がレクチャー、後半は各業界から1名の合計4名でディスカッションを行い、その場でインターネットにアクセスして入力することはありません。入力そのものは、授業が終って2日後までに行い、次の授業では入力して出た結果をもとに自身で練った戦略計画書を持って臨みます。レクチャーでは、たとえば生産管理についてであれば、工場の稼動のしくみや、コスト削減などについての考え方を説明し、ゲームの攻略法とも言える経営の基礎を伝えます。後半は、前半で得た知識をもとに、それぞれディスカッションしてもらいます。

このマネジメントゲームの最大の特徴の一つは、人材の管理ができ、それ次第で生産性が変わることです。経営者が給与を決めたり、研修を受けさせたり、人事異動できるようになっています。たとえば、異動がないと企業の雰囲気が悪くなり、あまりにひどいと従業員が退社するような設定になっています。また、人材には年齢設定があり、実社会を反映して、定年退職やはっきりした理由のない若者の退職も存在します。研修を受けさせたり、定期的に人事異動したり、中途採用機能を使って人材を増やさないと株価にも影響が出るのです。さらに、教員側のコントロールで不況も起こすことができ、その場合はリストラをするようレクチャーするのです。

実際に学生たちの経営方法を見ていると、株価が10円まで下がっている会社があったり、融資を受けられるのに受けないでビジネスを拡大できずにいたり、従業員が3人しか残っておらず、採用してもやめていく職場環境になっていたり、さまざまな問題がでてきます。こうした状況を改善するために、授業後半のディスカッションでは、前半のレクチャーはさておき、他の3人に熱心に相談するような場面も見られます。

こうして、プレイヤーたちは従業員ではなく、経営者の立場から物事を考える姿勢を身につけていきます。また、全15回ある授業の内、中間と最後にプレゼン大会を設け、経営が上手くいっているのであれば、なぜ上手く行っているのか、上手くいかないのであればその理由を他の学生にプレゼンします。最後のプレゼン大会では、図表を作成してデータ分析も交えます。

このマネジメントゲームを導入して一番驚いていることは、授業では一切教えていない、企業の損益計算書や貸借対照表の見方や用語を学生たちが自ら調べ、理解していたことです。ゲームで勝つために、重要な機能の理解はもちろん、こうした財務諸表まで見られるようになっている学生もいるのです。自分で積極的に調べて理解することは、以前の普通の授業では見られなかった姿でした。実際に、学生たちから声を聞いても、個人差があるものの、授業の中では細かく説明しない専門用語を自分で調べるクセがついた、用語が頭に焼きついたという声がありました。また、マネジメントゲームを導入し、ディスカッションの場を設けたことで、他の効果も見られています。自身の考えを他人に伝えたり、人の意見を聞いたりすることで、ディスカッションのトレーニングにもなり、社会人としての基礎も養えているようです。

現在、マネジメントゲームは、経営機能を増やすだけでなく、会計学の先生から会計の視点でゲームの改良点を指摘してもらったり、学生から使用感のフィードバックを得て機能面での充実もはかっています。今後、より一層学生たちに理解しやすい現実的なバージョンになるよう力を入れています。

経営学部でも、夏休みに2日間のオープンキャンパスを実施していますが、このマネジメントゲームを体験できるコーナーも設けています。高校生の皆さんも、ぜひキャンパスの雰囲気を見ると同時に、実際の1年生の最初の授業はどんなものなのか、見て、触れて体験してみてください。

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